まいくろ🍣きりみん

きりみんさんのマイクロブログです。ブログとTwitterの中間くらいの文章を書きます。

自粛生活で感じた人間は土から離れては生きられないということ

どんなに技術が進歩してもネットで買い物も仕事も完結させられても人間は土から離れては生きられないのよ!って思った。
うそです。人間は主語が大きすぎた。少なくとも自分は思ったよりもデジタルで完全に代替出来るものがまだまだ少ないんだなと感じた。

空間の大切さ

自宅で仕事をするのはむずかしい。というのは昔から自営業の人の間では有名な話だけど、やっぱり場所が気分に与える影響は大きい。
単純に自宅だと誘惑が多いからというのもあるけど、それだけではなく、リラックスするための場所で緊張を伴う行動をすると脳がバグる感じがある。
オフィスで上司と会話するのは緊張しないけど自宅からビデオ通話で上司と会話するとなんだか緊張してしまう。毎日面接でもしているみたいに疲れる。 オフィスにいると仕事のことだけを考える気分になるし、ルノアールに行くと読書が捗る。

食事もそうだ。よく高い店は環境に金を払っているという話があるが、別に高級料理店などでなくても、ウーバーイーツで頼んでPCの前で食べてると何を食べてもどうも味気ない。
自分がいかに店に行くという行為自体を楽しんでいたかを実感した。

買い物も同じだ。これはコロナ禍の前からだけど、大抵のものは通販で買えるようになり、わざわざアキバに買い物に行く理由はほとんどなくなってしまった。それは良いことだと思っていたけれど、実は無駄だと思っていた買い物に行くという行程が娯楽であり、それを失ってしまっていたと気付く。
だからといってネットで買えるものをわざわざアキバまで買いに行くかというとまあ行かないわけだけど、それは多分、自分の脳が買い物という行為の価値を過小評価しているからだ。

この問題のヒントはビデオゲームにあるのではないかと自分は思っている。
ビデオゲーム、特にRPGやシミュレーションゲームなどは元々はCUIのコマンド式だったものがどんどんリッチな空間をもったGUIに変化していった。
本当に必要なものが手に入り必要な情報交換が出来るだけで十分であれば、ゲームの中で物理的に移動して買い物をしたりするのは全く無意味であり、いつでもコマンドで行えれば済むはずだ。そうなっていないのはその無駄な行為そのものに価値があるからだ。
ゲームは娯楽だから無駄なことに価値があると思うかもしれないが、ゲーム以外でも同じだと思う。人間、少なくとも自分は娯楽とそれ以外の時間を完全に区別して娯楽以外の時間はただただ効率だけを追求して生きていけるほど機械的に出来ていない。

このように効率化によって削減される様々な無駄に思える行為こそが生活の価値そのものだったのではという気が最近はする。
しかしこの考えはどうも「電子辞書では勉強にならない!辞書は紙をめくることに価値がある!」と反発していた教師などを思い出してしまい、自分もそれと同じような老害的な懐古思考になっているのでは?という不安もある。

空間とコミュニケーション

別の話として、コミュニケーションにおける空間の大事さというのを最近よく考える。
一般的なリモートワークでのコミュニケーション手段は主に2つ、チャットとビデオ通話だ。
どちらも物理的な距離を超越した二次元的なコミュニケーション手段である。
しかしどうも上手くやれない。Twitterで雑にコミュニケーションしたり、たまに通話して遊んだりといった簡易的な情報交換であれば特に問題は感じない。
ところが仕事となると毎日のことであり、それなりに密度のある高度なコミュニケーションが求められる。

ネット廃人でネットにしか友人がいない人生を歩んできた自分がこんなことを考えるのは滑稽だが、やはり実際に対面することで人間の精神的距離というのは一気に近くなる。何年もネットで交流している相手でも一度の対面で印象や関係が変わってしまうこともある。

さて、リアルで会うことに価値があるのは多くの人が同意すると思うが、なぜチャットや通話では代替しきれないのだろうか。
これもゲームが参考になる。
自分はVTuberのゲーム配信が好きでよく見るのだけど、マインクラフトのようなゲームをマルチプレイでやっていると、単なる通話やチャットでは生まれないコミュニケーションが発生する。
マインクラフトのアバターは簡素なものだが、空間の中で自由に移動したりアクションをしたりすることが出来る。たったそれだけのことだけど、空間を伴う事によりそばにいない相手を擬人化することが出来、とてもコミュニケーションが円滑になるのが分かる。
また、普段はあえてメッセージを送ってやりとりをしない相手でも、空間があることにより偶発的なコミュニケーションが発生し、交流が発生する。
AmongUsというゲームでも同じような現象が見られる。
同じようなことはMMOをやったことがある人なら心当たりがあるのではないだろうか。もしMMOで行っていた人間関係がSlackだったとしたらはたして同じように気軽に挨拶をしたり偶発的な雑談をしたりすることが出来るだろうか。

というわけで自分はリモートワーク環境には何かしら空間を伴うコミュニケーションツールが必要なのではと考えている。
どうも仮想オフィスというとリッチなVRオフィスのように飛躍するケースが多いようだけど、別にそこまで重いものは不要で、AmongUsのようなシンプルなオンラインゲーム程度の解像度の空間があれば十分だと思う。

もちろん同じようなことを考える人はいて、いくつかそういうコミュニケーションツールのサービスは存在するようである。しかし積極的に試用したりするムーブメントは今のところ感じられない。もしリモートワークでのコミュニケーションに課題感を感じている会社が少なくないのであれば、もっと積極的にそういうものを試して知見をためる動きが加速してほしいと思う。